新耐震基準で大規模地震に備える

地震大国の日本では、建物に厳しい耐震基準が設けられています。ここでは、知っているようで意外と知られていない、耐震基準の基本について解説します。

耐震基準とは

耐震基準とは、関東大震災の翌年の1924年に施工されたもので、建物が地震による揺れや振動に耐えられるか、そうでないのかを定める基準のことです。

現在の耐震基準には、「震度6強から7に達する地震に耐えられる性能」が義務づけられており、建物が崩壊しないことに加えて、「建物の中や周辺にいる人に被害が及ばないこと」が目標とされています。

また、建物が地震のエネルギーをどれだけ吸収し、揺れに耐えられるかを表した耐震性能を知ることで、地震の大きさに応じた避難経路の確保や、身の安全を守ることができます。

住宅の性能表示制度の1つに、耐震等級があります。

これは、建物がどの程度の地震に耐えられるかを示す等級のことで、等級は1~3に分けられています。基準としては、

  • 耐震等級1…建築基準法に定められた対策がなされている。
  • 耐震等級2…建築基準法に定められた対策の1.25倍の対策がなされている。
  • 耐震等級3…建築基準法に定められた対策の1.5倍の対策がなされている。

引用:住宅の耐震基準と耐震等級について|株式会社プランニングエステート│発表年2015年6月9日(最終閲覧日2017年10月16日)

URL:http://www.planning-estate.jp/column/single/quake%E2%80%90proof.html

となっています。

耐震等級は2級以上取得していると、損傷のリスクがグッと低くなります。耐震への安心感も得られるため、2級以上の取得をおすすめします。

旧耐震基準と新耐震基準の違い

関東大震災の翌年1924年(大正13年)に施工された旧耐震基準では、中地震に耐えられるように設計されており、地震による被害が軽度におさまることを目的としていました。

ですが、1981(年昭和56年)6月1日以降に導入された新耐震基準では、大規模地震で倒壊・崩壊しないこと、中規模地震ではほとんど損傷しないことへと改正されました。

旧耐震基準では「震度5程度の地震で倒壊しないこと」となっていた部分が、新耐震基準では「ほとんど損傷しない」に変わっています。震度5クラスの地震が珍しくなくなっている現在の日本にはそぐわないものとして変更されたと考えられます。

地震が起きるたびに強くなっていく耐震基準

新耐震基準を導入して以降、旧耐震基準と比べてどのように変わったのか、損害発生状況を見てみます。

「平成7年阪神淡路大震災建築震災調査委員会中間報告」によると、阪神淡路大震災における旧耐震基準の建物の損害発生状況は

  • 大破以上…30%弱
  • 中・小破…40%弱
  • 軽微または被害なし…30%弱

となっています。一方、新耐震基準で建築された建物の損害発生状況は

  • 大破以上…10%弱
  • 中・小破…20%弱
  • 軽微または被害なし…70%強

引用:新耐震基準とは何かを知っていますか?│マンションジャーナル│発表年2016年5月1日(最終閲覧日2017年10月16日)

URL:https://kawlu.com/journal/2016/05/01/18560/

となっています。

また、2016年4月の熊本地震でも、旧耐震基準による建物702棟のうち225棟が倒壊したのに対し、新耐震基準による建物は1042棟のうち80棟の倒壊だったという点が明らかになっています。

このように、新耐震基準の建物がより地震に耐えられる性能を備えていると、データでも証明されているのです。

耐震基準を確認する方法

住宅を建てる際、販売広告の「築年月」が昭和56年6月1日以降だから新耐震基準だ、と思う方もいますが実際は違います。

正しくは、「建築確認済証の交付日」をチェックすることです。

住宅の着工から完成までに、数ヵ月~2年近くかかるのが一般的なため、建築確認証の交付日は築年月よりもだいぶ前になります。

耐震基準を確認する際に気をつけましょう。

耐震性はココで決まる!

ここまで耐震基準について説明してきましたが、住まいの耐震基準は大丈夫なのか?と気になっている方は多いと思います。

まずは耐震診断を受けてみて、住まいの耐震性を調べてみましょう。耐震性は以下のような要素によって決められます。

地盤

地盤の状態によって、建物の揺れ方は左右されます。

海や川、沼などが近くにある土地、山の斜面に建てられている場合、地盤が不安定になっているので揺れに弱い傾向にあります。

たとえ、このような環境でも固い地盤まで杭を打ち込めば補強できるので、安全性を担保することは可能です。

地中の土を調べるボーリング調査を行えば、より詳しく地層の構造を分析して確認することができます。

形状

一般的に、正方形や長方形といった箱型の形をした建物ほど、地震に強いと言われています。

一方で、L字型やコの字型のような複雑な形状をした建物は、地震のエネルギーが一部分に集中しやすくなるため、歪みやねじれの原因となってしまいます。

壁は、耐震要素を確認する上で重要になるものです。

壁の厚さだけではなく、耐震用の金具や構造用合板、筋交いなどが壁に設置されていると耐震性は高くなります。

しかし、車庫や開口部の大きな窓を設置し、壁の面積が少なくなると耐震性も低下するため注意が必要です。

リフォームにより壁を取り除いたり、少なくしたりする場合は、耐震性への影響も忘れずに確認するようにしてください。

建設時期

1981年6月以前に建てられた建物は、旧耐震基準が導入されたままなので、大規模な地震に耐えられない可能性があります。耐震リフォームを検討することをおすすめします。

2000年以降に建てられた建物は耐震性が高いため、大きな揺れに見舞われても倒壊するリスクは低いです。